Effect
卸売り業の
売上を
上げるため
のポイント
近年、小売店の大型化によりメーカーと直接取引する小売店が増え、流通を担う卸売業の存続は年々厳しくなっています。人口減少による消費需要の減退、EC市場の拡大の影響も大きく、生き残りをかけた対策が急務です。卸売業が抱えている経営課題を再確認し、売上を伸ばし新規顧客を獲得する方法を解説します。
流通業のひとつである卸売業。流通とは、生産と消費を繋ぐもので、卸売業と小売業に分かれます。一般的に商品が消費者の手に渡るまでの流れは、メーカー→卸売業→小売業→消費者の順です。メーカーは商品の開発と製造を行い、小売業は卸売業から仕入れた商品を消費者に販売します。では、卸売業の役割とはどのようなものなのでしょうか。
卸売業の主な役割は3つあります。メーカーから仕入れた商品の保管・加工と物流、小売店とメーカー間の情報伝達、小売店のサポートです。小売店では、多数のメーカー商品を販売しています。卸売業は各メーカーから商品を仕入れて卸してくれるため、小売店にとっては取引回数が少なくなることがメリットです。情報伝達機能については、インターネットの普及に伴い、卸売業の存在が必要なくなってきています。とは言え、個人経営などの小売店への支援は重要だと言えるでしょう。
昔は町の商店街など個人店が主流だったので、卸売業は流通に関して重要な存在でした。しかし、1980年代頃からは家電量販店やホームセンターなどの小売店の大型化が進みます。その結果、卸売業を介さずメーカーと直接取引を行う小売業が増え、卸売業の存在も危ぶまれるようになりました。また、人口減少による消費需要の減退など根本的要因や、EC市場の拡大やグローバル化も卸売業の経営に大きく影響しています。
卸売業の売上高は、「卸し先1社あたりの年間流通量×既存の取引小売店数」で計算することができます。消費人口が減少している現状を考えると、1社あたりの年間流通量も減っていく可能性は大きいもの。卸売業の売上を上げるためには、年間流通量を増やすことよりも、新規の取引小売店を増やす方が合理的と言えるでしょう。
売上に伸び悩む卸売業にとって、BtoB ECは売上を上げる有効的な手段です。たとえば、受注管理を自動化することで、営業担当者が小売店に直接訪問する手間を減らせます。オペレーターによる電話受注にかかる人件費も大幅に削減。また、インターネットに受注サイトを公開することで、遠方の顧客を獲得したり、海外への商圏を拡大したりといったチャンスも広がります。BtoB ECの導入は、業務効率化と取引先拡大に繋がることがメリットです。
スーパーマーケットに商品を卸している卸売り業者において、タブレットやスマートフォンを利用し、配送状況や受注状況の共有できるツールを導入した事例です。営業担当者が取引先で追加注文を受けた際、本社でも同時にその情報を共有し、業務スピードが格段にアップしました。また、配送スタッフの現在地がわかるなど、配送状況を「見える化」し、正確な納品時間を提供することで顧客満足度と企業価値が向上。競合社との差別化に成功しました。
卸売業が新しい卸し先を開拓する上で、ラウンダーの導入も有効的です。ラウンダーは担当した小売店へ定期的に訪問するので、営業担当者に代わって販売担当者とのコミュニケーションを図ることができます。また、ラウンダーは地場のスタッフを派遣することが多く、特に個人経営の小売店では地域特性を活かせる強みがあります。 全国展開しているような小売店に対しては、目の行き届かない問題点も見つけ出す貴重な情報源となるでしょう。