ラウンダーの種類を把握して状況に応じた使い分けをする

TOP » 【手法3】ラウンダーで適切な現場の効果測定を » ラウンダーの種類

Type

ラウンダーの
種類

ラウンダーの種類

ラウンダーにはまず、大まかに言って2種類のラウンダーが存在します。小売店舗の売り場を本部決定事項に沿ってスポット的に担当する作業員のようなラウンダーと、情報分析や小売店側との商品陳列の交渉など大局的にメーカーをサポートするラウンダーの2つ。今回は両者の違いについて紹介します。

Type1売れる売り場づくりの
施策を継続して行うなら
「定期ラウンダー」

主な業務

  • ゴールデンゾーンなど優位置への商品陳列の交渉
  • 店舗販売員の教育
  • 小売店の店主やカテゴリー担当者との関係性構築
  • モノが売れる売り場・店頭実現

解説

メーカーの営業担当者の手が回らずに、訪問ができていない小売店舗を定期的に回り、店長やカテゴリー担当者、店舗運営担当者との関係を築くラウンダーを定期ラウンダーと呼んだりします(委託業者によって呼称が異なる場合があります)。 本部決定事項通りに店頭実現する作業はもちろん、関係性構築を土台に有利な商品陳列の交渉を店長と行ったり、成果を調査したり、調査結果を受けて新たな企画を提案したりと、コンサルタントやルート営業、ルートセールスよりの仕事をするラウンダーを、定期ラウンダーと呼ぶ場合が多いです。 メーカー商品が売れる売り場づくりを実現するために、小売店舗側の販売員に情報提供、指導・教育を行う定期ラウンダーも存在します。

Type2現場に多くの人手が
必要なら
「スポットラウンダー」

主な業務

  • 短期間での販促物・販促什器の設置サポート
  • 店舗状況の確認・報告
  • ポップアップストアの設置サポート

解説

定期ラウンダーと異なり、スポット的に小売店舗に入って、本部決定事項を踏まえた店頭実現を行う実働部隊をスポットラウンダーと呼ぶ場合が多いです(業者によって呼称が異なる場合があります)。短期間で販促物を設置したり、販促什器を設置したり、ポップアップストアを立ち上げたりと、新商品の販促を全国で一斉に行いたいときなどに、現場で手足を動かして軽作業を行ってくれる人材ソースになります。 定期ラウンダーとは違い、一時的なスポットで店頭に入るため、店長やカテゴリー担当者、店舗運営担当者との関係構築などの業務は期待できませんが、大掛かりなキャンペーンを全国展開で短期間のうちに仕掛けたいときなどには欠かせない戦力になります。

Rounder

ラウンダーの領域を拡大させる
「VMD」という仕組み

営業マンラウンダー

ラウンダーの種類は、営業職を伴う営業マンラウンダーと、販促サポートのみを行うラウンダーの2タイプに分けられます。両者の違いは、「商品の売上目標が課されているかいないか」という点です。

営業と言っても、新規開拓を行う通常の営業マンとは異なり、ラウンダーは特定の店舗を担当します。店舗には競合メーカーの商品も販売されているため、自社商品をより多く売るためクライアントに対しセールスプロモーション(SP)を提案するのが主な仕事です。消費者から目立ちやすい販売スペースを確保し、魅力的な陳列やPOPを活用するなどして商品をアピール。SPによって商品の売り上げが向上し、クライアントからの商品受注数を増やすことが業務のミッションです。

販促担当ラウンダー

販促担当ラウンダーは、担当店舗に赴いて陳列棚の整理やPOPの設置、テスターの補充などを行います。営業を担当する営業マンは、別に存在しているケースがほとんど。クライアントと営業マンの間で合意された営業施策にそって、現場で業務を遂行するのが販促ラウンダーの役割です。

売上目標がなく、決められた作業をこなしていくだけなので物足りないと感じる方もいるかもしれません。しかし、忙しい営業マンの代理として、クライアントとの交渉や販売増施策の提案をある程度任されることもあります。売り場でクライアントや消費者と接しながら作業をする販促担当ラウンダーは、商品メーカーの顔ともなる存在です。売上アップの喜びを実感できる、やりがいある仕事と言えるでしょう。

ラウンダーの役割の変化1

従来ラウンダーのミッションは、本部商談で決まった販売増施策を実現化すること。業務は陳列棚の整理やPOPの設置がメインでした。しかし近年では、クライアントとの交渉や提案も行うなど、ラウンダーの役割が変化しています。

同じ商品でも店舗によってそれぞれ販売状況が異なり、必ずしも本部で決められた施策案が最適とは限りません。そのため店舗ごとに売り場づくりを行うケースも増えてきました。商品の発注量やPOP方法の提案も、現場に通じたラウンダーが行ったほうが有効的な場合もあるようです。

ラウンダーの役割の変化2

ラウンダーを組織化し、店舗の定期巡回や売り場管理に重点をおく業界は下記のようなものがあげられます。

飲料、ビール、菓子、調味料、製薬、化粧品、日用雑貨品、パーソナルケア用品、ペットフード、たばこ、ベビー用品、総合スポーツ用品の各メーカー。これらの業界では積極的にラウンダーを活用しています。数百人のラウンダーから成り立つ大規模組織では、1万店舗以上のカバーが可能です。

アパレル業界では、視覚的に売れる店頭陳列を実現するためのアプローチとして「VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)」が盛んに行われてきました。単なるディスプレイの工夫では終わらず、来店した消費者の視覚を刺激し、商品が売れる仕組みを店舗全体で盛り上げて作り出すアイデアやコンセプトを指す言葉になります。

近年ではアパレル業界以外にも、各業界の小売店舗でもビジュアル・マーチャンダイジングの重要性が叫ばれるようになってきました。そうした時代背景を受けて近年のラウンダー業務は、単にメーカー本部決定事項の販売計画通りに商品陳列を行う単純作業に終始せず、現場での調査・分析を踏まえた、視覚的に商品が売れる売り場づくりのサポート・提案といったコンサルタント的な領域にまで広がってきています。

Rounder

 用途に応じたラウンダーの
使い分けが大事

定期ラウンダーはメーカー本部決定事項である販売計画通りの売り場づくり・店頭実現を行う際に、効果的な人材ソースになります。近年は現場の状況を調査・分析して、有意な位置への商品陳列を店舗側と交渉してくれたり、新たな企画をメーカー営業担当者にボトムアップしてくれたりと、よりコンサルティングよりの形で支援してくれます。高売り上げ店舗など注力地域での活用はもちろん、営業担当者の手が回らず年に数回しか訪問ができていなかったエリアでこそ、売り上げ改善などで大いに成果が期待できます。

一方でスポットラウンダーは、複合的な広告展開や販促キャンペーンの一大展開、ポップアップストアの一斉立ち上げ・撤去といった、スピードが求められる場面で軽作業員として働いてくれます。2種類のラウンダーの特徴を十分に理解して、自社のニーズに応じて使い分ける、あるいは併用するといった戦略が、メーカーの側には重要になってきます。

TOP » 【手法3】ラウンダーで適切な現場の効果測定を » ラウンダーの種類