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日本を訪れる外国人観光客(インバウンド)は年々増えつつあり、東京オリンピック開催予定の2020年には、さらに多くのインバウンド招致が計画されています。このような外国人観光客の増加に合わせ、商業施設やサービス業ではさまざまな国の人とコミュニケーションを取るため、多言語対応の導入が進められている最中。こちらでは、インバウンド対策のために取り入れたい言語についてあげていきます。
英語は世界共通語ともされている言語であり、ネイティブはもちろん、そのほかの国々でも第二言語として広く用いられています。多言語対応としてまずは英語を取り入れることで、コミュニケーションの幅はぐっと広がるでしょう。
アメリカやイギリスなど英語を第一言語としている人々に対応する際、有効なコミュニケーションの手段になることは言うまでもありません。それだけではなく、アジアなど英語をネイティブ言語としない国々でも、第二言語や公用語として教育に組み込まれていることも多いのです。
そのため、多言語対応の一環として英語の導入は必須と言えます。英語でのコミュニケーションが可能になるだけで、さまざまな国の人と円滑にやり取りができるでしょう。
観光庁発行の資料によると、多言語対応の方針として、さまざまな案内表示に英語を併記することが推奨されています。これは、上記にあげたとおり、多くの国の人に対して訴求できるためとでしょう。ただし、この英語併記に関しては、博物館や美術館など展示物における解説文の場合、美観を損なわない程度とされています。
案内表示にとどまらず、パンフレットや音声案内、店舗や案内所などのスタッフの対応も同様です。英語を取り入れたサービスを提供することで、集客へとつながるでしょう。
近年、隣国の中国や韓国から訪れるインバウンド旅行者が急増しています。「爆買い」という言葉に代表されるように、小売店にとっては貴重な顧客でもあるでしょう。そのため、中国語や韓国語を多言語対応に取り入れる動きも活発です。
2017年の訪日外国人旅行者全体のおよそ70%が、中国・韓国をはじめとする東アジア諸国からの旅行者とされています。さらに、中国語を母語とする人は約12億人と世界最大の割合。韓国のインバウンド数の多さを考えても、中国語と韓国語を導入するのは有用な多言語対策と言えるでしょう。
中国語には簡体字と繁体字があり、国や地域によって使用言語が異なります。これと韓国語を合わせて、どのような言語使用域の人をターゲットにするかで表記を使い分けるのがおすすめです。
観光庁では、施設や地域に応じてターゲットとする国の言語併記を推奨しています。たとえば、中国や韓国のインバウンド旅行客が多く来店する小売店では、英語よりも中国語・韓国語を併記したほうが有効です。特に、中国や韓国のインバウンド観光客は東京や大阪、京都などに集中しており、これらの地域においては言語を臨機応変に使用するのがいいでしょう。
中国や韓国からのインバウンドにとどまらず、今後はロシアからの観光客も増加すると見込まれています。これは、2016年にロシア人に対するビザ発給の条件が緩和されたためです。もちろん観光庁でも、ロシアに観光局を設置するなど、ロシアからのインバウンド対策に力を入れています。そのため多言語対応の一環として、ロシア語の導入も課題となりそうです。
東アジア諸国のなかでは、タイからのインバウンドも比較的増加の傾向にあります。日本に対して好意的なイメージを持っている人が多く、さらにタイを訪れる日本人も珍しくないぶん、日本への興味が高いのでしょう。ただしタイ語を選択肢に加える際、特にスタッフの翻訳の対応が求められます。これは、タイにおける英語・中国語教育がいまだ実を結んでいないためです。
スペイン語は、本国のみならず南米各国でも第一言語として用いられています。これらの国はサッカーをはじめとするスポーツが盛んなことから、東京オリンピックの観戦で日本を訪れる人も増加するでしょう。そのため、スペイン語も多言語対応に取り入れられるとベストです。スペイン語は発音が日本語と似ているため、導入も比較的容易と言えます。
今後も増えることが予想されるインバウンド観光客に向けて、各施設や案内表示における多言語対応は必須です。特に押さえておきたいのは英語を筆頭に、上記であげたような言語でしょう。多くの国から訪れる人々を想定し、表示に加えてスタッフの言語習得にも着手することをおすすめします。また、各所のニーズに合わせた柔軟な対応も必要です。