Merit
売れる
マネキンさん
今回は、推奨販売派遣会社へ依頼をし、その会社の中でもトップセールスを記録するマネキンさんにインタビューを行った。 売れるマネキンさん、その技術に迫ろう。
マネキンさんとは、いわゆる試食販売などに代表される推奨販売を行うスタッフである。
人対人のマーケティング手法で、非常に効果が高いことで知られている推奨販売だが、この効果は人に依存しやすい。
推奨販売を行うことで、普段の売上の倍以上を記録することも珍しくないのだが、そのふり幅は販売員の技術とマニュアルの読み込みなどの事前準備によるのだ。
今回はマネキンさんの売るための技術に迫るため、推奨販売派遣会社の『cabic』の協力の下、在籍しているマネキンさんの中でもトップセールスを誇る桑原さんにインタビューを行ない、その技術を見せていただいた。
cabic株式会社は東証マザーズ上場企業のグループ会社で、3万5千人の登録マネキンが在籍する推奨販売員派遣会社。年間派遣店舗数4万件、年間取引社数が上半期だけで629社という実績を誇る、推奨販売に特化した業界の急成長株である。
推奨販売員を行う前から販売業に従事しており、数年前cabic株式会社の推奨販売員派遣サービスに登録。
美容部員派遣をはじめ、さまざまな販売スタイルに好奇心豊かに取り組み、どの売場においても平均点以上の売上を上げてくれる。
バランス感覚に長けた販売員である。
インタビューの前に、彼女が推奨販売を行っている現場を見学させてもらいました。
今回の商品は、生鮮食品の販売。
お店の迷惑になってしまってはいけないので、遠目からの見学だったが、何よりすごいのは遠目から見ていても声が届く。
「○○の試食販売やっておりまーす。」
遠くにいても聞こえる声は、普段のスーパー内にはないイベント感の演出にピッタリ。
ついつい目に留まってしまう。
夕方のスーパー繁忙タイムの際は目に見えて売れていることが分かった。
試食販売の前で足を止め、試食をし、買っていく奥様が多数いたのだ。
(記者)本日はよろしくお願いいたします!
(桑原さん)よろしくお願いしますー。
現場の見学させてもらいました!
え、そうなんですか!?なんか変なことしてませんでした?笑
いやいやしっかりお仕事されてましたよ。笑
桑原さんって、ものすごく聞き取りやすくて通る声をされていますね!これはなにか意識されているんですか?
バンドやってたんで、そのせいですかね。笑
今回みたいな生鮮食品の試食とかは、広い範囲の人に「試食やってるんだ!」って思ってもらった方が、売上も上がるので、特に試食販売では大きな声は意識してますね。
なるほどー。生鮮食品とかはと仰いましたけど、ものによって声のボリュームは変えてるんですか?
そうですね。cabic(取材協力会社)さんって美容部員の派遣もやっているんですけど、さすがに美容系のときは今日みたいな声は出さないですね。笑
あとは、お店の大きさによっても変えますね。
大きいお店の場合は、イベント感が出た方がいいと思うので、できる限り広い範囲に届くようにするとか。
今日って何か自前で持ってきているものってありますか?
えーと、あ、カンペ持ってきてますね!
カンペ?それは何のカンペなんですか?
試食販売の時って、メーカーさんや派遣会社さんからマニュアルをもらうんです。
でも私、暗記するのがすごい苦手で!
マニュアルを読んでみて、ここ重要だな!って思うところの中でもキャッチ―な文をカンペに書いて試食台の横にいつも貼り付けています!
今日の商品で言えば、○○有機栽培?みたいなさっと入ってきて、なんかすごそう!ってお客さんが思ってくれそうな単語とかをカンペに書いてきました!
なるほど!確かにマニュアルに書いてある言葉って、長すぎて読む分には良くても短い時間では伝えられないですもんね。
そうなんですよ!試食販売なんてお客さんが聞いてくれるのなんてものの数秒ですからね!その数秒の勝負なんで、できる限りキャッチ―で短い文を伝えるようにしています!
今日一番、お客さんに刺さったな?って思うことはなんでした?
食品だったんで、味と安全性ですね。
マニュアルにも何でこれだけ甘くなるのかは書いてあるんですけど、数秒で甘さの秘訣までは伝えきれないので、端折ってとっても甘い!ってことは伝わるように変えたら、お客さんの引きが良かったですね!
その他にも気にされているポイントって何かありますか?
髪はしっかり縛って、帽子から髪の毛が出ないようにしています。 食品を扱っているお店に行くわけですから、やっぱりどこに行くにしても清潔感のある身だしなみは必須ですね。あとはフルメイクも忘れないです。笑
あと、挨拶は結構テクニックの1つですね!
挨拶?どういうテクニックなんですか?
感情をこめて挨拶するだけなんですけどね。笑
「いらっしゃいませ」は誰でも言うんですけど、私の場合は「いらっしゃいませ。こんにちわー。」って言います。挨拶をしっかりしていると、やっぱり目に留まりやすくなります。
後は「あ、こんにちわー!」みたいな知り合い?みたいな感じで挨拶するのなんかもよくやります。笑
確かに「いらっしゃいませ」だけ言われるのと比べると印象違うかもしれませんね。 よく、マネキンさんは親近感と馴れ馴れしさの境界を攻めるべきみたいなことを聞きますが、そういう意識でやられてるんですね。
そうですね!この挨拶で返答してくれる人は、話しかけても大丈夫な人。返答してくれないで嫌そうな顔をされたら、引いておこう。みたいな感じで、使い分けています。
なるほど。挨拶でラインを測ってらっしゃるんですね。
大阪の生まれだからそういうところは上手いのかもしれないです。笑
これからマネキンさんになろうとしている方にこれだけは絶対にやっておいた方がいい!ということって何かありますか?
当たり前のことをしっかりとやることですね。挨拶・身だしなみ・笑顔は誰でも出来ることなんで、これは絶対にやった方がいいですね!
スーパーってとても忙しいので、どうしても外部から来る人は見られてしまうところもあって、特に挨拶・身だしなみとか向こうの気になるところが重なってしまうとクレームになる印象ですね。
確かに挨拶ってどこの会社でも見られますよね。私の会社も宅急便の業者とかが入ってくることありますけど、挨拶が小さい人は「なんだこいつ?」ってちょっと思ってしまいますね。
ですよね!挨拶ってどこでも見られるんですよ!それは試食販売員の世界も一緒です!
あともう一個!工夫することですね!できないことをできないままにするんじゃなくて、できるようにするために工夫をするのが大事だと思います!
私も暗記が苦手だからカンペに書き込みして、忘れないようにしたりとかしてますけど、そういうちょっとした工夫はした方がいいですね!
マネキンさんは、時給いくらと決まっているので、楽をしてもお給料がもらえます。でも、楽をしていると次の仕事はもらえなくなってしまいます。
この2つができるだけでもマネキンさんとして活躍をしていけると思います!
最後に書かせていただいた、「もらっている給料以上に売る」というところからも分かるかと思いますが、桑原さんはまさにプロという印象でした。
ですが、心がけられていることはそこまで特別なことではなく、これから推奨販売員になろうと思っている方でもすぐに真似を出来るようなことばかりでした。
「当たり前のことを当たり前にやる」
一生懸命何かをやられている人の言葉は重みが違います。
最後に、桑原さん、取材協力をしていただいたcabic株式会社の林田さん。御礼申し上げます。